1.9/3.5/7MHz 10mホイップアンテナ  by JO2ASQ

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1.9/3.5/7MHz 逆L型アンテナ, 1.9MHzホイップアンテナのマッチング方法(2008/11/18のBlog記事), ホイップアンテナ 雷サージ対策品(2009/02/17のBlog記事)もあわせてお読みください。

 JE2WYAさん作の1.9MHz用Whipの実物を見せていただき、試行錯誤を繰り返すこと約1年、ようやく1.9/3.5/7MHzの3バンドで使用可能で、十分な性能を得られるアンテナが完成しました。

 構造はベースローディングとして、簡単・確実に調整できるように工夫しました。設置には自動車1台分のスペースしか必要としないので、大きなアンテナが張れない都心部、道の駅、あるいは強風下の運用でも威力を発揮します。

 私のモービルにはこのアンテナの他、1.9MHzモービルホイップ7/10/14/18/21/24/28/50MHzモービルホイップアンテナ(7MHzも使用できるよう改造済)、144〜1200MHzのアンテナも搭載しており、わずか3〜4分で、1.9〜1200MHz+サテライトの全バンドで実用可能なアンテナが装備できます。設置の手間、性能ともに「任意長ワイヤー+オートマチックアンテナチューナー」を上回る最強の移動運用システムと思います。

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構造

 このアンテナは、

  1. 長さ10m(7MHzの約1/4波長)のエレメント(ワイヤー)
  2. ミノ虫クリップでタップを取り、インダクタンスを調整するローディングコイル
  3. インピーダンス変換用のトランス

から構成されています。ワイヤーを垂直に立て、同軸ケーブルのアース側を自動車のボディに接続することで、ホイップアンテナとして動作します。7MHzでは、ローディングコイル無しでインピーダンスが約50Ωとなり、ほぼSWR=1で安定します。

 3.5MHz、1.9MHzでは、ワイヤーにローディングコイルを直列にします。インピーダンスの虚数成分が0になった場合(共振した場合)、インピーダンスは約20Ωになりますので、これをトランスで補正します。トランスは6Pトグルスイッチで接続/非接続の切り替えを行います。

 ボディアースは、ハッチバック基台の裏側の取り付けネジを強めに締め付けただけです。特別な電気的接続や溶接は行っていません。ただし、アンテナ基台の引き込み部分のケーブルを、トロイダルコア(FT-82#43)に3回巻きのソーターバラン(フロートバラン)としています。これはノイズ低減にかなりの効果があります。

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ローディングコイル

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 ローディングコイルは、長さ28cm、最大直径10cmのポリプロピレン製食品容器に、φ1mmのスズめっき線を巻いたものです。食品容器はダイソーで105円で入手しました。フタの中央にM型コネクタ(メス)を取り付け、これとは別のMP-MPの中継コネクタを使ってアンテナ基台に取り付けます。フタには6Pトグルスイッチを取り付け、その裏側にインピーダンス変換用トランスを配線します。トランスはトロイダルコア FT-114#43にφ1mmのポリウレタン線を16回巻き、アースから10回巻きの所でタップを取っています。このタップの位置は調整が必要です。

 ワイヤーは自在ブッシュと呼ばれる素材で保持しています。これはボード等に穴を開けて屋内配線のケーブルを通す時、穴の回りでケーブルに傷が付かないように被せるものです。電気工事部品の販売店で入手できます。これを食品容器の側面にゴム系接着剤(Gクリアー)で貼り付け、スズメッキ線を巻きます。容器全体を自在ブッシュの歯に合わせて密巻きしたのでは、インダクタンスが大き過ぎましたので、バンド切り替えの部分が1歯おきの「スペース巻き」になるよう仮組みして巻数を決めたのち、新しいワイヤーで巻き直しました。巻数を増やせば1.8MHz帯でもマッチングが可能です。

 1.9MHz帯におけるSWR<1.5の帯域は約20kHzです。共振周波数は周囲の環境により大きく変動します。

は、アンテナアナライザによるタップ位置の再調整は必須です。コイルのタップは半巻き単位で調整しています。トップローディング方式のように数mm単位で細かく調整する必要はありません。

 障害物の無い場所で、同じワイヤーの張り方が再現できれば、SWR計だけでも調整は可能です。また、ワイヤーの揺れによってもSWRが変動するので、ワイヤーの数か所をマジックテープ式のコードバンドでポールに軽く固定しています。

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設置方法

 この種類のアンテナとして、10m長さの釣竿やグラスファイバーポールを使っている方も多いようです。私は5.4m伸縮ポールと5.3m釣竿を連結して長さ10mとしています。竿の先端には「ナスカン」を取り付けてワイヤーの先端を引っ掛けられるようにします。伸縮ポールと竿の連結は、厚さ10mmの木の板(幅7cm、高さ22cm)に穴を開け、4個のVボルトを蝶ナットで取り付けたものを使っています。最初は鉄板で作りましたが、重くて扱いにくいので軽量化しました。

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性能

 受信については大変良好です。短縮したことが原因で受信感度が劣るとは感じられません。1.9MHzで、正規の電離層反射で599+20〜30dBで受信できたり、7MHzで「BIG SIGS」というレポートをもらったりしたこともあります。ただし、非接地型アンテナと比較して、空電等のノイズに弱いと思われます。

 アンテナ解析ソフトMMANAを使って、1.9MHzにおける利得を計算しました。ダイポールアンテナや逆L型アンテナと比較して10dB以上利得が低い、という結果です。しかし、実際はこれだけの利得差があるとは感じられず、むしろ遠距離向けにはホイップで良い成果が得られています。特に、自局が6エリアで運用した時には、逆L型アンテナよりもホイップアンテナの方が、8エリアとの交信比率が高くなりました。

 逆に、1.9MHz/3.5MHzの近距離に対しては、天頂方向への放射が弱いため、ホイップアンテナは明らかに弱い信号となります。自局と同エリアとの交信数を稼ぐ必要があるコンテストなどでは、ホイップアンテナは不利になると考えられます。

アルミ板による容量結合アース


コイル アース板

 アースとして車のボディと導通を取る代わりに、20×30cmのアルミ板を車のボディに押さえつけたものが使えます。アルミ板はマグネット基台でボディに固定し、その一端を大型ワニグチクリップでコネクタのアース側に接続しただけです。これでも1.9MHzでSWR<1.5となる帯域は15kHzほど確保でき、十分な安定性が得られました。


SWR SWR
作成 2008年4月11日,

[JO2ASQ]