1.9/3.5/7MHz 逆L型アンテナ

逆L型アンテナ

最終更新 2012年4月27日

概要

1/4波長接地型アンテナ、およびその短縮型(製作例)は、エレメント全体を垂直に展開できない場合、一部を水平にしても動作します。そこで、手持ちの5.4m伸縮ポールに合わせて、1.9/3.5/7MHzの1/4波長フルサイズの逆L型として、以下に紹介するようなアンテナを主に使っています。

釣竿を使用した垂直型・短縮型アンテナと比較して、次のような利点があります。

  1. フルサイズで使用する場合は帯域が広く、調整が容易
  2. 釣竿が立てられないような強風でも使用可能
  3. チューナーを併用することで、1.9〜50MHzまで使用可能
  4. コイルを併用することで、全長40m, 20m, 10mを設置場所に合わせて選択できる。

特に、強風でも使用可能であることは、他の方法には代えられない長所であり、2006年に1.9MHzの運用を始めて以来、主戦力のアンテナとして改良を重ねながら使っています。

目的

7MHzをワイヤーアンテナで運用するためには、自動車のボディアースと、垂直に立てた1/4波長のワイヤー(約10m)を使えば、ほぼ50Ωのインピーダンスが得られることが分かりました。

しかし、1.9/3.5MHzでは、1/4波長のワイヤーの全体を垂直に立てることは難しいので、移動局の多くは10mくらいのワイヤーで妥協して、アイコムAH-4などオートマチックアンテナチューナーを使ってマッチングを取っているようです。

適当な長さのワイヤーで無理にマッチングを取るより、できるだけ共振点に近い長さ(1/4波長×短縮率)の方が性能が良いはずです。そうすると、1.9MHzや3.5MHzでは、根元の10mだけを立てて、それより先は地上に向けて斜めに張ることになります。一種の逆L型アンテナです。そのような場合、インピーダンスが50Ωより少し外れることがあります。こんな時だけのために、高価なアンテナチューナーを使う必要があるでしょうか? そこで、特に1.9/3.5MHzでの使用を意識したアンテナカップラーを自作しました。AH-4の1/10程度の価格で製作でき、アイコム以外のリグでも使用可能です。Hi

アンテナカップラー

まず、ワイヤーとして使い古しの7MHz 1/2波長ダイポールアンテナの両エレメントを接続したものを逆L型に配置し、3.5MHzでインピーダンスを測定しました。その結果、インピーダンスは50Ωより低く、さらにワイヤーを継ぎ足す必要があることが分かりました。また、逆L型と言っても頂上付近の「開き角」は設置場所によっては一定にならないので、開き角によってインピーダンス(共振周波数)がかなり変動します。それを補正するため、専用のアンテナカップラーを製作しました。

基本的な構成として、1/4波長より少し短いワイヤー(容量性負荷)を接続して、不足分はコイルを挿入してインピーダンスを純抵抗に近づけ、50Ωより低ければインピーダンス変換を行うようにしました。トロイダルコアで4:1のインピーダンス変換を行います。つまり、12.5Ωのアンテナに対して50Ωの給電線にマッチングが取れます。スイッチで50Ω(変換しない)にも切替え可能にします。これで、6.25〜100Ωの純抵抗に対してSWR<2が確保できます。

エレメントとして、1.9MHzでは約40m、3.5MHzでは約20mのワイヤー(ビニル線)を接続します。実際にはギボシ端子で中継して周波数を切り換えます。(3.5MHzと7MHzの切り換え部分が釣竿の先端付近にあるので、この2つのバンドの切り換えは釣竿をいったん降ろす必要があります)ビニル線として、ACコードよりさらに細い0.3mm2の平行コードを裂いて使いました。

インピーダンス変換用のトランスは、FT-140#43に0.6φポリウレタン線を30回バイファイラ巻きにしました。バランなどの他の製作記事と比較すると、かなり巻数が多いですが、10回巻では特に1.9MHzで動作が不安定でしたのでこのようにしました。

なお、1/4波長より長いワイヤー、および既に十分なインダクタンスのローディングコイルが入っているワイヤー(誘導性負荷)にはこの方法ではマッチングできないので注意してください。

ワイヤーに直列に挿入するコイルは、0.2、0.5、1、2、2、5、10、20、20μHの7種類9個です(写真は改良前のもので、0.2μHではなく50μHが入っています)。適当な手持ちの材料を使いました。コイルのインダクタンスはMMANAで計算しました。これらをスイッチで組み合わせることで、およそ0.2〜60μHの任意のインダクタンスが得られます。スイッチは普通の(1個150円くらい)6Pトグルスイッチです。

使用上のヒント

ダイポールと比較してノイズは多いものの、8エリア、6エリアまで簡単に飛んでくれます。1.9MHzのフルサイズダイポールでは80mのスペースが必要ですし、それを支えるポールなども頑丈な物が必要です。短縮ダイポールでは帯域が狭く、調整が面倒です。しかし、この方法なら30mの水平スペースで済みます。

1.9MHzは平日の夜でも交信相手が見つかりますし、意外にQRP局が多いことも分かりました。4エリアや7エリアなど特定の地域だけが599+20dBくらいで入感して、数10分後には何も聞こえなくなってしまう、他のバンドには無いスリリングな面白さがあります。

7〜28MHzでも、コイルの容量をより細かく可変できるようにすれば同じ方法が使えると思います。

また、「ワイヤーの長さだけを調整して完全にマッチングを取りたい」時に、ワイヤーを目的の長さより少し短くして、このカップラーでコイルを追加し、必要な継ぎ足しの長さを見積もることができます。この方法で1.9MHz用のワイヤーの長さを微調整して、モービルアンテナ基台に直結でSWR=1.3を得ることができました。

インダクタンス 仕様
0.2μH 内径15φ空心 1.0φUEW 2回巻き
0.5μH VP13水道用塩ビパイプ 1.0φUEWを5回密着巻き
1μH VP13水道用塩ビパイプ 1.0φUEWを8回密着巻き
2μH VP13水道用塩ビパイプ 1.0φUEWを13回密着巻き
5μH VP13水道用塩ビパイプに1.0φUEWを21回密着巻き
10μH FT-50#61に0.6φUEWを12回巻き
20μH FT-50#43に0.6φUEWを6回巻き

追記1: 1.9MHz用40mワイヤーの先端は、地上すれすれの位置(10cmくらい)でもきちんと動作します。風が強い時には、下手に空中に吊るすよりも、先端の5メートルぐらいを地上すれすれに張った方が安定します
 先端付近に金属製のフェンスやガードレールがあると、共振周波数が大きく狂います。できるだけ離してください。同様に、ワイヤーの根元(給電点の近く)が風で揺れてドアの隙間に挟まり、SWRが急上昇したことがありました。

追記2: この方法では、長過ぎるワイヤーにはマッチングができません。初めて運用する周波数や、周辺に障害物が多い場合には、ワイヤーの先端の1〜2mくらいをギボシ端子と鉢底ネットで細切れにしておき、必要な分だけ接続すると便利です(→写真)。

追記3(2006.3.21): ページ上部の写真のように、伸縮ポールの先に釣竿(長さ5.4m)をつないで、釣竿の先端からビニル線を斜めに引っ張る形で10数回使用したら、釣竿の先端(直径0.8mm)が折れてしまいました。釣具店で補修用のパーツも売られていますが、高価です。そこで釣竿ではなく、グラスファイバー製の玉網(長さ6.3m)に買い換えました(網の部分は取り外して使用)。これなら先端の直径が約14mmあり、折れる心配はありません。耐久性などをテスト中です。→玉網では重過ぎて垂直を保つのが困難でした。

追記4 (2006.3.27): ワイヤーの先端を支持するためのコンクリート製の台(980円)を購入しました(重いですが安定性は抜群!)。これで、ガードレールなどが無い場所でも、先端を地面から浮かせることができます。実際は、写真のようにワイヤーを思い切り引っ張ると釣竿が折れそうになるので、先端の5mくらいを地面すれすれに緩みを持たせて配置するか、先端を地上高1〜2mの位置に固定してゆったりとぶら下げています。先端が地面に近い場合には、先端の1mをギボシ端子で切り離すとうまくマッチングができました。

追記5 (2006.5.9改): 数値解析によると、ワイヤーの先端から給電点側に向けて指向性(F/B比は約5dB)があります。打ち上げ角は約55度です。総合的な性能は7MHz 逆V型ダイポールアンテナによく似ています。ワイヤーの形状をいろいろ変えてみても、性能に大きな変化はありませんでした。
従って、目的とするエリアに給電点側が向くように設置するとよいと思います。先端を北向き設置で8エリア、西向き設置で6エリアが強力に入感しています。(100〜200kmくらいの局を集中的に狙ったり、山に遮られていて1.9MHz以外でQSOが難しい地域を狙ったりすることが可能です。コンテストで役立ちそう Hi)逆に言うと、2エリアで運用する場合、運用場所が北西-南東方向に展開されていると、最適なアンテナの配置は困難で、特に7エリアの感度が非常に悪くなります。

追記6(2006.9.19): 参考にしたウェブサイトはJH1GVY局、JA7AO局、アイコム株式会社 BEACON『関西のハム達。島さんとその歴史。』です。1.9MHzでQSOしていただいた時には感激で手が震えました Hi.

coulper coupler2
モービルアンテナ基台に取り付けたところ 内部の様子

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清水祐樹 JO2ASQ(mail

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